母の手術

 母の手術は今日の深夜に行われた。私はそれで午前十時半に日赤に着いた。病室に行ったらびっくりした。酸素マスクや点滴、輸血などいろんな機械があったからだ。私は想像した。こんなにすごい手術を母はしたんだ。それでベッドの上で横になって寝ている。何とも言えない気持ちが走った。そして手術用の着物から普通のパジャマに着替えて少し経った。そしたら母の様態といおうか顔色が変わった。いたい。いたい。と叫ぶ顔に変わっていた。ナースコールして私は看護師に痛み止めを打ってもらった。そしたらしばらくたって落ち着いたのか眠りに入った。でも熟睡ではない。うとうとしているだけだ。その痛みはただ事ではないぐらいの痛みだったと思う。脊髄を手術しているので、手術したてだから背中に管が入っている。だからどうしてもやや横になってしまうのだ。自分が行ったときはまっすぐ寝ているように見えたが、すぐ斜めになる。痛いのだろうとすぐ悟った。午後五時までいたが立ったままだった。自分も一安心はしたがでも母の声を聴くとものすごく小さな声で話して、心配ないと言った。その瞬間涙が目にたまった。こんな経験は初めてである。気持ちをしっかり持たねばと思ってもどうしても涙が......。そうした中家路に着いた。家に帰ったら少し落ち着いたのだろう。気持ちも収まった。明日は午前中訪問看護だ。だから午後日赤に行こうと思う。いや毎日行こうと思っている。母が少しでも安心していられるように。今自分にできることはその程度だ。だから今自分に何ができるのか。母の為に何ができるのかを考えなければいけない。作業所もあるしほかにやらねばならないこともたくさんある。自分が障害者だからとか言ってはいられない。母を元気にすることが今私にできることであり、そのためにも毎日面会に行かなければならない。母にはまだまだリハビリや退院までの道のりが長く残っている。私にはそれを見届ける義務がある。それが親子だ。それに最後にどうしても通らなくてはいけない道なのだ。生死をさまよった母の為にも。私は生きなければならないのだ。